昨日見た雑誌の最後のページ。
双子座恋愛運最下位。
おまけに全体運も最下位。
こんな占いってアリ!?
こんなんじゃ全国の双子座の読者は誰もこの雑誌買わなくなるんじゃない!?
私は少なくとも買わないわ!
来月からは"プチレモン"に変えてやる!

「京さん、なんだか元気ないですね。」

いつの間にか隣にいた賢くんが心配そうな顔でのぞき込んできた。
わ、すごいくっきり二重。
肌キレイ。

「京なんかほっとけほっとけ!」

大輔がわざわざ振り向いて言う。
いつもならこてんぱんに言い負かしてやるところだけど、今日はそんな気力もない。
だいたい双子座の私は最下位、牡牛座の大輔は1位。
なんだか今日に限っては口喧嘩にも勝てる気がしない。

「何かあったんですか?」

優しい賢くんを前に溜め息がこぼれた。
冒頭の占いとか雑誌云々を全て話すと、賢くんはくす、と控えめに笑った。
それがなんだか軽い嘲笑のようで、私は違和感を感じた。

「何よぅ。そんなの信じるのって馬鹿にしてる?」

「違いますよ。」

「この占い当たるんだからね!」

「じゃあ、嫌なことがあったら僕が必ず慰めますよ。」

賢くんは終始変わらない表情で笑ったまま前を向いて言った。
それは、いくら優しい賢くんでも優しすぎる言葉だった。
しかも賢くんの場合は口先だけでもなんでもなくて、
本当にそうしてくれるだろうから。
私はいつもちょっと深読みしてしまって、
賢くんは私のことが好きなのかも・・・なんてあるわけもない期待をしてしまう。
そうして賢くんがヒカリちゃんや大輔や伊織にも優しくしているのを見ると、
やっぱりそんなことあるわけない・・・と落ち込む。
全く勝手な話。
でもそうさせてるのは間違いなく賢くん。

「け、賢くんは何座なの?てゆーか、誕生日、いつなの?」

「2月20日生まれのうお座です。」

「そうなんだ。覚えとくね。」

賢くんのこと、またひとつ知れたって嬉しくなった。
今は手帳がないから、

賢くん2/20

と手の甲に小さくメモをした。
家に帰ったらお気に入りのラメペンで手帳に書こう。
小さな小さな文字を見つめながら考えた。
この日に賢くんが産まれたんだ。
もしかしてそれって、とってもとってもとぉーってもめでたい日じゃない!?
そんなこと今まで知らないでいたなんて。
私にとってはイエス・キリストよりも大切な人だもん。

「賢くん、お誕生日おめでとう。」

「・・・まだまだ先ですよ?」

「いーのっ。12年分なの。」

「…ありがとう。」

"生まれてきてくれて、今まで生きてきてくれてありがとう"
本当に伝えたいことは恥ずかしくて言えなかったけど。












◆END◆
なぜかいきなり誕生日もの。
しかもはげしく捏造。
誰か一条寺賢の誕生日を知りませんか・・・