「タケルくん〜」

夜中12時。
携帯が光った。
まったくこの人は遠慮ってものを知らない。

「はいはい。また彼氏と別れたの?降りておいでよ。」

高校時代京さんは,外見の良い先輩と付き合っては3ヶ月ももたずに別れ,
僕の家に来て泣いていた。



「いい加減大人な人と付き合いなよ」

京さんにコーヒーを渡しながら言った。

「だから大学生と付き合ったの…」

京の涙は相変わらず止まらない。

「…はぁ。年じゃなくてさ。精神的に大人な人。」

「そんなのわかんない…」

まあ確かに,京さんにはわからないだろうなぁ。
どこかにいないかなぁ。
わがままな京さんを包んでくれる器が大きい男…。
まぁそこがこの人のいいところでもあるんだけど…。
はぁ。くそ。明日はヒカリちゃんとデートなのに。

「とりあえず,今日はもう寝なよ。お肌に悪いよ?
それに僕,明日僕ヒカリちゃんとデ-トなんだ。」

「ぅわぁぁぁん!!!タケルくんの馬鹿ぁぁぁ!!!」












「…ということがあったんだ。」

「へぇ…。あたしもあたしで昨日の夜10時に一乗寺くんから電話があってそれか
ら3時間延々と京さんトークだったわよ…」

「あはは,うざー」

「途中から寝てたけどね」

「何年も会ってないのによくネタが尽きないよね…あっ,そこだ!!!」

「え?」

「京さんと賢くんくっつけちゃえばい-んだよ!」

「えー…京さんが賢くんに振り向くかなぁ…」

「だーい丈夫だって★お台場のキューピッドとは僕のことさ!」

「…タケルくんなんかきもい…」