一乗寺賢,18歳。
ただいま受験生真っ最中。
・・・でも,たまには息抜きが必要。
ということで,月に1回はお台場に住む彼女と会うことにしている。
この1日は,僕にとってクリスマスよりお正月より待ち遠しい日。
その日が,明日に迫っている。
予備校から帰り,机の上のデジタル時計をふと見ると,23:00と示していた。
「よし,もうひとがんばり」
明日何も気にすることなく遊べるように,明日やる分の勉強を今日やってしまおう。
僕は制服のまま着替えもせずに机に向かった。
最後の問題を解き終え,模範解答を見て答えが合っていることを確認。
「ふ-。」
赤ペンで丸をつけ,問題集をばたりお閉じ,本棚に戻した。
机上の時計は3:30を示していた。
(結構頑張ったな・・・)
首とか肩を回しながらお風呂場へ向かう。
シャワーを浴びながら何度も寝そうになったが,
15分程で終えてスウェットを着てベッドに飛び込む。
眠りに着く前に,忘れずに9時に目覚まし時計をかけた。
午前4時就寝。
♪♪♪〜
ところが。
目覚まし時計ではなく,携帯の音楽で賢は目覚めた。
重たい瞼をあけられず,手で枕元をまさぐる。
携帯の感触を確認してそのまま耳へと持っていく。
「・・・もしもし」
『賢く-ん?今どこ???』
その愛しい声を聴いたとたん,顔が青ざめた心地がした。
『賢くん-???』
困ったような声。
「ごめんっ!寝過ごしちゃって,今起きた・・!急いで行くから!」
ベッドから降りながら,スウェットを脱ぎながら,耳と肩で携帯をはさみながら会話。
『賢くん,疲れてるの?・・・なら無理しなくても・・・』
「いや,全然大丈夫!!!絶対行くから,あと1時間程待ってて!」
京が優しく心配してくれるのをいいことに,強い口調で返す。
だって,今日は受験1ヶ月前。
今日会わないと絶対大学落ちる!
なんだかんだ言って京も結構忙しいし。
『わかった!ブラブラしてるから,駅ついたらメールして♪』
顔洗って着替えて髪整えて。
「あら賢ちゃん。お出かけ 「いってきます!」
お母さんの言葉を途中で遮って家を飛び出た。
田町駅まで猛ダッシュ。
なんだか注目浴びてるけど今はどうだっていい。
とりあえず,京に会うことが今は一番大事。
電車に駆け込み,乱れた息を整える。
携帯を開き,”今電車乗ったよ”とメールを打つと,
1分後に”じゃあと30分くらいだね★いつものベンチで待ってるね!”と返ってきた。
あと30分で,京に会える。
◆END◆
◇あとがき◇
賢ちゃん高3,(あたしの妄想では)京短大生。
このころはもう呼び捨てでいるといいな-。
でも結婚しても京さんってのもいいかも!