「ねぇ,賢くんの将来の夢って,何?」
ベッドの中で京の髪をくるくると弄んでいた。
相変わらず綺麗な髪だと,思っている時だった。
「唐突だなぁ」
サッカー選手だとか,お花屋さんだとか言う年ではない。
”将来の夢”というよりは,”将来の目的”という方がしっくりくる。
「今は刑事になりたいって,思ってる。」
「刑事?」
「うん。」
子供のように聞き返してくる京が愛しくなり,
腕の中に収めた。
「なんで?」
「・・・映画見てすごいって思ったから。」
「何それ,単純ーっ」
僕が適当な言葉で濁すと京は笑ってそう言った。
本当の理由を語るのは,夢を叶えてからでいい。
「京は?」
「賢君のお嫁さん!」
「それは嬉しいな。」
「・・・嘘。」
「え,嘘?」
「でも,幸せな結婚ができればそれでいいかな。」
枕元に置いていたミネラルウォーターを一口飲んで,
ライトを消した。
「もう1回しよっか?」
そう言うと,京は首に手を回してくれた。
将来のことなんて,わからないけれど,できるなら君と叶えていきたい。