新婚1年目。
付き合って8年目。
8回目のバレンタイン。
でも、結婚して初めて迎えるバレンタイン・デイ。
いつも通りの朝だった。
あたしがアイロンをかけたシャツを着て、顔を洗っていつもみたいに優しく微笑んでくれる。
あたしはおっきいお腹を抱えながら朝ごはんの準備。
向かい合って食卓につく。
賢くんがコーヒーを飲む姿、大好き。
「僕これ好き」なんてツナと玉葱と卵を炒めただけのなんてことのない料理をほめてくれる。
賢くんがもう食べ終わりそうなとき、いつもの質問を投げかけた。
「今日は何時に帰ってくる?」
最近賢くんは帰りが遅い。
新米刑事が重大な事件の担当に抜擢されて、すごくすごく大変そう。
「今日は早く帰ってくるよ。」
「えっ、ほんと!?何時!?」
あたしは嬉しくて思わず立ち上がる。
だって最近の賢くんってば、「なんとも言えないなぁ」とか「遅かったら先に寝てて」とかばっかりで。
「定時に帰ってくる。」
「本当に!?」
賢くんはごちそうさま、と言って私の方に来てくれた。
そうして両手を方に置いて、私を座らせる。「急に立ったら赤ちゃんびっくりしちゃうよ。」
そう言ってあたしの髪にキスする。
朝からどっきどき。もう、そっちの方が赤ちゃんに悪い気がするよぅ。






◆END◆