「あー!伊織!」
剣道の稽古からの帰り道。
近所迷惑とも言えそうなほどかん高い声が夜の道に響く。
僕はまだランドセルをしょっているのに、京さんは制服を着てもう3年になる。
はじめは見慣れなくて嫌いだった京さんの制服姿にも、もう慣れた。
―――隣にいる一乗寺さんにも。
「伊織くん、剣道の帰り?」
二人はデートなのだろうが、そんなことは聞かないでおいた。
「あ、賢くんここでいいよ、送ってくれてありがと!」
「そう?家までまだあるよ?暗いし・・・」

「伊織がいるから大丈夫!」

一乗寺さんはそう?と心配そうに帰っていった。




「伊織と家に帰るのは3年ぶりだねー」
それどころか、並んで歩くのも3年ぶりだ。
3年前は完全に見上げていた京さんの顔が今では隣にあるのが嬉しい。
「伊織、背ぇ伸びたよね!もうすぐ追いつかれそう。」
僕くの心が見透かされたのかと、どきっとした。
「もう、追いついてますよ?あと3ヶ月もたてば、京さんなんてすぐ追い抜きます。」
「そう?」
「そうです!」
自分らしくもなくついムキになってしまう。
「楽しみ♪」
そんな風にお姉さんぶる京さんがイヤだ。
「伊織ももう中学生なんどよねー、何か考えられないなぁ。」
「一乗寺さんとつきあってるんですか?」
強引に話をさえぎった。
「えっ、いや、付き合ってるってわけじゃないんだけど・・・」
京さんは照れながらたどたどしく言う。暗くてよく見えないけど、顔を真っ赤にしているかもしれない。
「あっ、伊織は!?もう小6だもんね!!好きなコはいないの!?」
「いますよ」
僕がいないです、というのを想像していたのだろう、京さんはびっくりした様子だった。
「えっ、誰誰誰!?・・・て言っても知らないけどぉ、どんなコ!?」
「・・・京さんが僕のこと子ども扱いするなら」
「え???」
「京さんだけには内緒ですっ」
「え〜!?何でよぉ!」
「ヒントは・・・年上です。」
「ぇぇぇ〜!?遊ばれないようにね!!!」

僕より3つも年上で、背もちょっと高くて、好きな人がいる
人を、好きになるのはおかしいのかなぁ。

「大丈夫です。僕、京さんが思ってるほど子供でも純粋でもないんで。」



そんな話をしている間にマンションのエレベーターに着いていた。
「伊織、剣道頑張ってね♪」
京さんの階に着いた。京さんの降りる間際、
「もともっと頑張って、京さんのこと守れるような男になると思います。」

京さんがどんな顔をしているか、怖くて見れなかった。














相変わらず駄文デス…たぶん続編書きます!!!