「じゃー京の卒業を祝って、かんぱ〜いっ!」 
  
大輔が威勢のいいかけごえをかけると、みんなのグラスがぶつかり合って、 キレイな音が響いた。 
昨日は、京の小学校最後の日だった。
それで、今日は卒業おめでとう、という意味のパーティーを開いている。

「京さん、卒業おめでとう。」
「おめでとうございます。寂しくなりますね。」
「でも僕らはマンション同じだし、毎日会えるけどね。」

タケルと伊織がそう言葉をかけてくれた。

「おめでとう京さん。でも・・・私はやっぱり寂しいな。絶対会いにきてくださいね!」

ヒカリは目に涙を溜めながら一生懸命に言った。

「皆ありがと〜っ!絶対絶対会いにくるから!」

京さんとヒカリさんが抱き合う姿を、僕は言葉をかけるでもなくただ眺めていた。
皆は今まで同じ学校だったから、京さんがいない寂しさを想像して悲しんでいるのだろう。
僕は今まで違う小学校だったし、デジタルワールドに行くとき以外に会うことはなかったし、
そこまで悲しむ必要はないのに、何で僕の胸はからっぽでこんなに物寂しくがらんとしているのだろう。


「ちゃんといっぱい会いにくるから!ね?だからもぉ泣かないで?」

京はヒカリをあやすように言ったが、ヒカリの涙は止まらないようだった。

「・・ごめんなさい、・・・でもなんか中学生って、遠くて・・・」


―――そうか。
京さんを好きになってから今まで1つの年の差を気にしたことはあったが、
ずっとその劣等感を押し込めて思いを伝えようとしてきたのに。
”小学生”と”中学生”の差はあまりに大きい。
僕が知らない”中学生”の世界で知らない生活をしている京さんを想像するのは、
とてもとても苦しかったんだ。


「賢???」
「一乗寺さん???」
「一乗寺君???」

賢の頬からは、涙が流れていた。
それは、そこにいた誰もが驚くことだった。本人である賢さえも。

「・・・っあれ???」

京さんも不思議そうな顔をしている。



「・・・あら?一乗寺君も泣いちゃったの?京さんに慰めてもらいなよ、あっちで。」

もう泣き止んだらしいヒカリはベランダの方を指差した。






「賢君、大丈夫?」

京さんはピンクのハンカチタオルを差し出してくれた。

「大丈夫です。なんかすみません。」

もう涙は引いていたがそれを受け取った。

「ううん、こんな、パーティ、っまでしてくれて・・・・・・ぅ、ふぇ・・」

京さんの目からは涙があふれて、眼鏡をはずして手でぬぐっていた。
僕は自分のポケットから自分のハンカチを出して都さんの涙を拭った。

さっきまであんなにけろっとしていたのに。

「・・・ハンカチ、ありがとう。かえっこだね。今度返すね。」

京さんは涙がまだ止まっていない目で微笑んだ。

「はい、今度。」

僕も、それにつられて微笑んだ。

















◆後書き◆
なにこれ・・・とりあえず卒業モノが書きたかったはずなんです!!!
また中途半端な終わり方になっちゃったぁ〜〜。続き書きたいなぁ♪